「文明の裁き」をこえて―対日戦犯裁判読解の試み (中公叢書)



「文明の裁き」をこえて―対日戦犯裁判読解の試み (中公叢書)
「文明の裁き」をこえて―対日戦犯裁判読解の試み (中公叢書)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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既存の各種の東京裁判論を乗り越えようとする試みなのかも

遅まきながら本書を読んだ。
本書は既存の各種の東京裁判論に、著者の専門でもある比較文化人類学を下敷きにした視点を中心に切り口を入れようとする新しい試みといえるのではないか。だから近現代日本史というより比較文化人類学というジャンルの読み物として読んだ方がいいのかもしれない。丸山正男の東京裁判に関する著作のテキスト批判的解釈から異文化接触、異文化体験まで東京裁判というものを今までになかった視点で捕らえようとしているのが特徴的だ。
また、東京裁判、BC級裁判というある意味、人間としての極限状況を扱った中にも 著者のあたたかい人柄がにじみでてくるような文体にどこかしら好感が持てたように思う。
ちなみにこれは余談だがどこかで著者の名前を聞いたことあるなと思ってたら私の予備校時代、受講したことのある英語の講師の方だったことを思い出してふと、当時の事を思い出した。
さんざん出尽くした議論

東京裁判については延々と論争が続いている。私個人は、東京裁判は勝者による報復であり、国際法上無効だと思っている。しかし、日本がこれを受け入れたことは正しい判断だったとも思う。これまでの戦争だったら、敗戦国は勝者に賠償を払わなくてはならなかった。アメリカと4年近く総力戦をやったのだから、本来なら途方もない賠償を請求されていただろうが、そうはせずに戦争指導者を裁き、復興支援もした。
 もし本当に報復するつもりなら、裁判などややこしいことをせずに
巨額の賠償をとっていただろう。
 戦後半世紀にわたって日本政府が東京裁判を破棄しなかったのは、
弱腰外交とか、土下座外交などで片付けられる問題ではない。
戦争裁判という名の不正義

戦勝国による敗戦国への「復讐」の儀礼といってもよかったのではないかと思う東京裁判だが、その真相が世に伝えられたのは寧ろ近年になってからだとさえいえる。戦後生まれの著者のような研究者が、日本を変えそして文明観の重要な論議の的であるべきこの東京裁判を真摯に基礎から検証、研究しなおしている姿勢はまことによろこばしいことだ。

裁判の冒頭においてキーナン主席検事は、この裁判は「文明の裁き」であると位置付けた。即ち、野蛮な日本の文明が、正義の西洋文明によって裁かれるという図式である。

丸山真男をはじめとする多くの文化人といわれる人々が、この論調にのって、卑怯未練、邪悪な一部の戦争指導者によってこの戦争は引き起こされ、一般の国民は騙されていたのだといういかにも居心地の良い自己弁護論を展開した。

このような戦争責任を一部の指導者にかぶせて、多くの日本人が見事に戦争の被害者に変身してしまった。このような責任の転嫁が、結局戦後の日本人の総無責任体質を作ってしまったのかもしれない。

東京裁判はキーナンの意味したところと、全く異なった文脈において「文明の裁き」であったことを、著者は詳細なデーターを駆使し抉り出して行く。

丸山真男はニュールンベルグ裁判に臨むナチ指導者と東京裁判における日本人戦犯を比較し、日本人戦犯は責任逃れに終始しているが、ナチス指導者はそうではないといった論考をおこなっているが、これが全く事実と反するばかりではなく、丸山による意図的な資料の削除があることなどを克明に検証している。

竹山道雄による早い時期からの東京裁判批判、あるいは東郷茂徳外相が当時の与えられた情況下でいかに日米開戦回避に努力したか、嘗ての敵国の戦争指導者たちの弁護を行うという米国市民としてはまことに難しい立場にたちながら、見事にその職責をはたした米国人弁護人ブレークニーの弁護士倫理観、等々、本書ではじめてしるようなエピソードも豊富で論文形式をとっている所為も相俟って、説得性に満ちた東京裁判論、文明論となっている。



中央公論新社
「戦争責任」論の真実 戦後日本の知的怠慢を断ず
東京裁判―勝者の裁き
東京裁判 (講談社現代新書)
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東京裁判―第二次大戦後の法と正義の追求




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